JABRO-REVORIDA 070227
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蛇壇町奇談
(1)
迷い込んだ高架公園下の下水処理場が運営されている。キュードコン・ズジジジジュリ。ゲートが坂の途中にあるが気づかずに上り下りをする。そのウチの一人が自分であり、単純な登りだけの結果公園内に到着し、老人や、子守歌の響き、既に沈みかかっているのにかろうじて西日だと把握できる程度のぎりぎりの落日、想像力を用いての沈黙する表情であるか、単に眠いだけなのかおばさんがベンチでうとうとして、やがて自動販売機が存在しているので接近する。高架公園というのも珍しいので、記憶にとどめよう。そう思って120円かと思ったら十円安いので儲かったとよろこんでカンココアを飲むと、トイレ脇に止めたチャリが問題になる。どうやらチャリ入場は禁止事項だと解説が入ってる模様。それはすんません、すぐ出て行きますんで。あんた看板見えないのか。いや気づかず迷い込んだもんで。でも看板あったでしょう。いや気づかずに・・。看板が。これ飲んだらすぐ出ますから。と、おりていくと確かにチャリと犬は禁止だと書いてあるな。高架公園は管理されすぎておもしろくないので、右に行くと河がある。河にそって高速路線がギュウルギュル言ってるので見上げると何も見えない。空をバリバリ行くものがある。橋まで行って向こうに渡ると河を通り過ぎたことになる。橋の上から見下ろすと海でもないのに船が多いことに気づく。すぐに当然だと思い直す。そのまえに驚いたのである。沈没した大きな船が悲しく漂っているが、まるでベニヤ板で作られた結果がこれだと思わんばかりのペラペラにみえる。誰かが乗っていたとすれば自分も驚いたであろう。気になってそちらを見ながら移動していたら橋が終わり瞬間的にビルに視線を遮断されはっとすると、垂直線の陰と陰の隙間に沈んだ西日のオレンジが残っていて一瞬で見えなくなり、橋のエンディングの坂を下り、鹿島志摩町構造文化地区に入った。
(2)
蛇行する河と比較的まっすぐな河が合流する地帯があり、いくつかの橋に道が繋がるのは当然であるので、直進しても川を越えること数回の経験をする。問題は同じ河を何度も超えていることに気づかないことである。さきほど通った昔くさい焼鳥屋と同じ匂いがするとはなんて奇遇だろうと思っていると、同じじいさんがレバーを焼いていたので、止めて買ってみる。なんだあんたさっき素通りしたね。おお見た?思い直して食いに来たんだわ、と大嘘をつく。さようか、それはまた律儀になぁ。レバ3本ね。酒はどれに?いや拙者運転中ですからレモンテーとかにできんですか?それはウチはやっとらんが、アッサムテーなら。はいそれで。いや外の商売はさむいでござんしょうね?ま世間相手ですからな。モグモグぅほれで、この道をずっと行くとメトロポリタン演舞場前に着くという直感のもとに移動しておるのですが?先の二股があってどっちかに行くと三つ叉でどっちかはまっすぐなんだが、まっすぐだと思っていると急カーブになるので気をつけて行きなさい。って、それどっちがカーブの方なんすか?どっちか行ってみて三つ叉が無ければ戻りなさい。それがワタシの最後の教えじゃ。かたじけない、道々食っていこうと思うので、カシラ3本ネギマ2本。
(3)
いくつかの道をタメして、ソレがきらめいているので特殊なガラスか金属の僅か数ミクロンのかけらの集積がまぶされた湾曲平面を形成する技術が用いられているのだ。走路交通の法則を塗り替える科学の勝利かと感心して、隣車線に目をやる。道はますますカーブと交差を複雑にし交差点自体が湾曲しているので曲がったすぐ後に元の位置に帰ってしまうので廻船問屋回顧町の周辺だけ回転するように移動していたのである。駆動力のある花が咲いている。ひまわりの季節はとうに過ぎた冬に咲く花がある。背高のっぽ草とはどんなだったかと思いながら一度も見たことがないことに気づき、目線を下げるとタンポポが咲いていてもかしくないような道ばたに小石数個が転がってるで、よけて通るつもりがズルっとなったのでおりると、高い女の影と低い子供の影が道にあるので見上げると、二人の女性が歩いており、母と娘だと判断したが声をかけないで見ていると、二人とも腕組みをしている。子供が腕組みをするのは何とも奇妙に見えるのに、さらに母子ともに同じ格好で道を歩いているので、こんな光景はもう二度と見ることはないだろうとこの目に焼き付ける。振り返ると小型オート10輪走行デルタAの市場調査が行われていて、危険なので民衆は下がりなさいとアナウンスがある。密かに裏に回って見てやろうとしたが、見つかって懲らしめられる。普通なら罰金1万円だが腹が減ってるからそのネギマ2本で勘弁すると言われ公権力の犠牲となる。バカにしやがってと思いながらのこったカシラを泣き泣き食う。そうこうしてゆっくり行く。河はもう遠いと思ったらもう一本あって、橋がないと思っていたら渡し船があるという看板があり行ってみると、先ほど沈没していたものと同型の帆船である。異なるのは一応まだ帆があると言うことぐらだ。おいこれ大丈夫なのか。船底が抜けないようにビニールテープを巧みに貼る技術を開発してから滅多なことはないのだ、というので、信じて乗ると、後2台来たら出るという。それはいつのことになるか?いや統計的には2日以上先ということはまずないから安心しろ。万が一今日駄目ならどうするかね?そういう場合の宿泊施設は完備しておる。またの機会にどうもどうもと、下船すると、じゃこれ、と割引券を渡される。結局川沿いに夜道を行くと、向こうから二階建て乗合いバスが来て、ヘイとシャレで声をかけると目の前で止まったので、特別停止料金を払ってコレに乗ると行商帰りのおばちゃんの団らんに出くわす。
どこからきなさったかね。向水木花坂町経由で万感放心勧進町の方から来ましたが河を超えられず難儀しておりました。そうかいそれは不憫なことで、腹が減っては戦は出来ぬでこれでも食いなされ、と笹釜団子を頂戴し、お礼に最後のカシラ一本を差し上げると、多くの行商のおばちゃんは一人降り二人降りして、それではわたしもこの村で降りまするので、と最後の人が去ってやがてバスは真っ暗な神社の横を通って行く。そろそろ最後の峠を越えるというアナウンスが入り、開け放たれた窓からカラバナハラシンガ渓谷が見えたので、もうすぐガトー山五合目なのである。